プロフィール
PROFILE
原 克義/シグニ株式会社 代表取締役 広告会社を経て、2003年にミスミ(現ミスミグループ本社)へ入社。多角化系事業の1つであるメディカル事業部(ミスミグループ内で分社化して株式会社プロミクロスへ。その後、ユニックメディカルを買収しシグニ株式会社へ改称)において、動物病院向け通販事業に従事。医療・福祉施設向け通販事業や新規事業開発、経営企画などの責任者を経て、2017年にシグニの代表取締役に就任。 |
守屋 実/守屋実事務所 代表取締役 1992年にミスミ(現ミスミグループ本社)に入社後、メディカル事業の立上げに従事。2002年にミスミ創業オーナーの田口氏とともに新規事業開発の専門会社エムアウトを創業。2010年に守屋実事務所を設立し、新規事業創出の専門家として活動。ラクスル、ケアプロの立上げに参画、副社長を歴任。ジーンクエスト(ユーグレナグループ)、サウンドファン、みんなの健康、ブティックス、SEEDATA(博報堂グループ)、AuB、みらい創造機構、ミーミル(UZABASEグループ)、トラス、日本クラウドキャピタル、テックフィード、キャディ、フリーランス協会、JAXA、セルム、FVC、日本農業などの取締役、顧問、フェロー、理事など、 リクルートホールディングス、JR東日本スタートアップなどのアドバイザー、内閣府などの有識者委員などを歴任。2018年4月にブティックスを、5月にラクスルを、2か月連続で上場に導く。 |
金田 欧奈/ベーシック・キャピタル・マネジメント株式会社 代表取締役 米国公認会計士、公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員、J.S.Aソムリエ デロイトトーマツコンサルティング(現アビームコンサルティング)入社、戦略ファイナンス事業部マネージャー、M&Aコンサルティング業に従事し、ダイエー、カネボウ等の国内大型再生案件のビジネスDD及びPMI、総合商社の業務改革、国内外大手自動車メーカーの資本提携後の業務統合案件等を経験。 2006年よりベーシック・キャピタル・マネジメントに参画、事業承継支援、ベンチャー企業の成長支援、老舗企業の再生支援、大企業子会社カーブアウト支援等、数多くの投資案件を手掛け成功に導く。メーカー(自動車関連、食品、機械、日用品等)、小売・外食、ECサイト、サービス、フランチャイズチェーン、アウトソーシング事業等、幅広い業種にて経営経験を有する。2022年4月にシグニの取締役に就任。 |
原 | 本コラムは、シグニに興味を持って頂いた方がご覧になっておりますので、本日は、当社の事業ファウンダーである守屋さんと、当社の株主である金田さんと、シグニの歴史や事業の特徴、今後の事業の可能性について、少しカジュアルな対談を通じてご紹介したいという企画です。守屋さん、金田さん、よろしくお願いします。 |
守屋 | よろしくお願いします。 |
金田 | 過去のシグニの話しを含めて楽しみです。 |
原 | では、まずは、シグニの事業の始まりについて守屋さんに振返ってもらいたいと思います。当社の前身は、機械工業系の商社であるミスミ(現ミスミグループ本社)のカタログ通販ビジネスのプラットフォームを活用した多角化系事業の1つとして1994年に生まれました。当時のエピソードを交えて紹介してもらえますか? |
守屋 | 私は、創業社長である田口さんに誘われて、ミスミに新卒で入社しました。入社と同時に新規事業開発の任を受け、色々調査をしながら、メディカル、フード、オフィスの3市場に参入することを提案しました。 |
金田 | 新卒の守屋さんが1人で調査したのですか? |
守屋 | いえ、市場調査の際にコンサルティングをお願いしたのがマッキンゼーです。様々な分析の結果、機械工業系商社からはかなりの飛び地ですが、まずはメディカル分野からやろうということになりました。 具体的には、100床未満の病院のナースを対象として、医療現場で使われるガーゼや包帯、カテーテルやメスなどを中心とする医療材料を、インターネットがなかった時代だったのでカタログで販売するという事業でした。 「医療材料を、必要なときに必要なだけ買えるカタログがあったら、どうですか?」と数人の看護師に質問をして回ると、「いいですね」「便利ですね」といった返事をもらい、手応えを得た私たちは、「ナースヘルプ」という名前の病院向け通販カタログを全国にリリースしました。 しかし、待てど暮らせど売上は伸びませんでした。ミスミとしても初の新規事業なので、かなり予算をかけたにも関わらず年商は3億円をピークに止まってしまいました。 |
金田 | 想定通り行かなかった要因は何ですか? |
守屋 | 多くの病院では、看護師に医療材料の発注権限がなく、病院の用度課が担っていて、我々のカタログには見向きもしてくれませんでした。 この事実に気づき、急いで診療所の院長向けの「クリニックヘルプ」という名前のカタログ通販にピボット(方向転換)しました。病院には用度課があるけれど、病床数が19以下の診療所ならば、購入の意思決定は院長にあるだろうと、深く顧客に向き合い直すことをせずに、品揃えを微調整し表紙を差し替えたカタログを診療所へ送りつけました。 しかし、当然のごとくピボットは大失敗。なぜなら、診療所は、出入りの業者が御用聞きで手厚く対応していたので、わざわざ自分でカタログを検索し、必要な数量や納期を調べて、商品番号や数量を正確に記入して発注する、といった面倒なやり方に変更する医者は皆無でした。 |
金田 | まずはやってみる、という姿勢はとても大事ですが、さすがに見通しが甘かったということですね? |
守屋 | 世界最高峰のコンサルティング会社が出した報告書に基づいて決めた会社の方針に従って行動していただけで、私がベンチャーの起業家のように、自らリスクを背負って自分ごととして頑張っていたら、もう一歩突っ込んで聞いたはずです。 「本当に買いますか?もし買うんだったら、仮発注伝票があるから仮発注してください」と言って、どうやったら失敗を回避して成功するか、もっと真剣に取り組んでいたと思います。もっとも大事な意志、在り方が未熟であることが致命傷だったと思っています。 |
金田 | そうですね、私が投資先を選定する際にも、経営者の意志や事業に取組むスタンスというのは一番最初に見ることですね。 えっと、動物病院の話しがなかなか出てきませんが(笑) |
守屋 | はい(笑)。そうした中、立ち往生する私のもとに、ある日突然、不可思議な注文が入ってきました。注文主は都内の動物病院、注文内容は人体用のインシュリンシリンジでした。「動物病院にカタログを送った覚えはないぞ」「なんで動物病院なのに、人体用なんだ?」「もしかして、本当は動物病院ではなく、購入した医療材料を横流しする悪徳業者かもしれない…」。2連続の失敗で、ただでさえ社内の立場が悪くなったのに、さらに問題が起こったら大変だと焦った私は、とにかく急いで現地に足を運びました。 現場に行ってみてわかったのは、動物病院向けの医療材料というモノは殆どなく、大体が人用の医療材料を使っていて、犬とか猫は人間より小さいため、特に小児用や新生児用が重宝されているという事実でした。 人間の病院なら外科、内科、耳鼻科、眼科と診療科目が細かく分かれていますが、動物病院はすべての病気を診る必要があるうえに、犬、猫、鳥、ウサギやフェレットなど様々な動物種を診る必要があります。 故に、顧客のニーズは多品種少量で、かつ一つの動物病院の規模は小さい。これを医療材料を販売する企業の立場に立って見てみると、「自身の売上ノルマに対して貢献しないわりに手間のかかる、うまみの少ない客」ということになります。 つまり、動物病院の先生ならば、カタログ通販という新しい購入方法を受け入れるだけの構造が存在していると考えられました。 すぐさま会社に「やらせてください!」と申し出るものの、すでに2回も失敗している私は迷走しているようにしか見えなかったようで、取り付く島もありませんでした。 |
金田 | なるほど。それで? |
守屋 | そこで私が打った手は、現場に赴き、とにかく徹底的に顧客解像度を上げることでした。これまでの2度の失敗は、顧客理解の浅さが敗因でした。そこで会社を休み、ある動物病院に頼み込んで1週間、無償で泊まり込みのバイトをさせてもらいました。 現場でどれほど非効率なことが起きているか、自らの目で見て体感していくうちに、「これは自分がなんとかしなければならない」と、使命感にも似た感情を持つようになりました。 不思議なことに、この事業を「任命されたイチ業務」ではなく「自分ごと」と捉えられるようになると、見える景色も一変してしまいます。常に会社からの評価を気にしていた目は顧客に向き、失敗に対する恐怖よりも成功するための挑戦を選ぶようになる。 一方、熱いハートと反比例するように、継続していくための収益構造を、冷静に、執念をもって探っていくようになりました。 こうして、自分ごととして顧客の解像度と事業の解像度を極限まで上げ、真摯に向き合った結果、テストマーケティングを経て、なんとか動物病院向けカタログ事業の立ち上げにこぎつけました。 そこから6年で、毎年250軒ずつ動物病院が開業していく中で、240軒が私たちのカタログ通販を利用してもらえるほど支持をいただけるようになりました。1年に一度、総合カタログを発刊しつつ、総勢6名という少数部隊で、6年で年商20億円まで伸ばしました。 |
原 | 守屋さん、ありがとうございました。その後、守屋さんはミスミの創業社長の田口さんとともに、新規事業開発のプロの道に進むために2002年に当社を卒業しますが、入れ替わりに2003年に入社したのが私でした。 当社が動物病院市場に参入したのが1996年なので、守屋さんが生んだシグニという子供が小学1年生になった年に私が引継ぎ、今では社会人3年目ぐらいの年齢になった、ということになります。お互いちょくちょく子供の話しをするので、生みの親と育ての親の関係性ですよね(笑) |
守屋 | これまで、色々な子供を産んできましたが、やはり、一番可愛い子供かもしれません(笑) |
原 | 私は広告会社を経て、2003年にミスミに入社しましたが、それまで、動物医療に携わったり、ペットを飼ったこともありませんでした。ですので、業界も通販もすべてが分からないだらけでした。そのために、すべての課題解決のために取った行動は、お客さんである、獣医師先生や動物看護士さんに聞きに行く、教えて貰う、ということでした。勿論、取引先であるメーカー各社さんにも、遠慮なく押し掛けて、市場感や業界のことを根掘り葉掘り聞きだしました(笑) 入社してからまだそれ程時間が経過していない頃の話しですが、診察機器や手術器具など、自分の身の回りで日常的に目にすることはない商品を扱っていますので、まずは商品知識を高めなければならないと思い、たまたまご縁があった北海道の動物病院に泊まり込みで、1人合宿を行いました。診察以外の時間に院長先生に横に座ってもらって、当社の当時600ページ程あるカタログを1枚1枚めくって、1つ1つ商品を指しながら、「これはどんな時に使うんですか?」「これとこれはどんな機能が違うんですか?」「どんな基準で商品を選ぶんですか?」といった感じで、2日間、朝から夜中まで先生を拘束しました(笑)。 |
守屋 | そこまで悪いことはしたことありません(笑) |
原 | さすがに疲れた顔をしていましたが、それでも嫌な顔をせずにずっと付き合って頂きました。北海道の先生以外にも、全国色々な病院に訪問して、多くの先生方に色々なことを教えて頂きました。ですので、仕事をするうえでの私の大きな原動力の1つは、先生方に恩返しをすることです。私やシグニが、全国の先生方に育てて頂いたという事実は、綺麗ごとではなく、自分を強く駆り立てる心のエネルギーになっています。ですので、当社がもっともっと便利になって、もっともっと有益な情報を提供して、先生方の診療や経営を下支えしたいと強く思っています。 |
守屋 | 原さんにバトンタッチした頃は、それ程会話をすることはなかったので知りませんでしたが、やはり事業の立ち上げ時と同じような行動をしていたんですね。 |
原 | はい、先生方へ恩返したいという原動力とともに、自分がこのビジネスにフィットすることと、20億円の事業をさらに成長させるために、とにかく必死でした。とはいえ、管理部門はミスミに、コールセンターと物流は外部委託に、それぞれを外だししていたものの、その機能のマネジメントとそれ以外の業務をすべて6人でやっていたので、あまりの忙しさに気が狂う状態でした(笑)。 |
守屋 | 原さんとしては何が一番大変でしたか? |
原 | やはり、カタログの発刊です。通販事業も初めてでしたが、動物医療業界も素人なのに、広告会社出身ということで、入社早々からカタログ発刊の責任者を任されました。そのような中で、一番最初に取組んだのが、カタログの営業マン化でした。私が入社する以前のカタログを見ると、商品が綺麗に並べられているものの、どこか無機質に見えました。コールセンターとともにお客さんとの唯一の接点であるカタログを、もっと人間臭い存在にしたいと考えました。そこで、テレビショッピングのように、自分も含めて当社の社員がカタログ上で商品をアピールしたり、「今さら聞けない手術の準備手順」といったコンテンツを掲載したり、カタログを、買うためのツール以上の存在にするために色々アイデアを考えました。実際に「カタログをパラパラめくるのが楽しんだよね」と言っていただく先生が何人もいて、とても嬉しかったです。 |
守屋 | たしかに、医療用カタログなので、出来る限り真面目に堅く作ってましたね。 |
原 | 勿論、カタログの先の現場には、命が待っているという緊張感はありましたが、ビジネス的に見ると、B2B事業であるものの、動物病院の場合はB2Cの要素が意外とあり、当時はカタログに隠れキーワードを入れてクイズにしたり、最近ではスイーツ当選キャンペーンみたいな販促企画をやったりしています。 |
金田 | 取締役会で良く話しを聞きますが、シグニの皆さんは、合理的な思考を持ちつつ様々な面白いトライをしている感じがします。 |
守屋 | カタログ発刊は大変というより楽しんでやっていた感じのようですが? |
原 | いえ、内心はビビりまくりでした。「情報が間違ったらどうしよう」「先生方から批判を受けたらどうしよう」みたいな感じで、カタログ発刊日は怖くて怖くてしかたがありませんでした。それと、当時は毎年発刊していましたが、1冊作るのに半年ぐらい掛かります。勿論、コンセプトづくりやデザインのような制作業務だけではなく、マーチャンダイジングと売り方の戦術策定も含むからです。 先生や看護師さんが、必要なものを探しやすく、購入する際は選択しやすいように、商品群を体系的に見せるために、どんな商品をどう強弱をつけて並べるか、みたいなことに神経をすり減らしていました。制作作業に入ると、夜中になってもその日の仕事が終わらず、徹夜することもしばしばでしたので、よくオフィスの床に寝ていましたし、疲労困憊で体を動かすことができないこともありました。 それでも頑張れたのは、先生方へ恩返しをしたいと思っていたからです。 |
守屋 | 現在はECでの販売がメインになりましたが、今、物販事業として大事にしていることは何ですか? |
原 | 守屋さんもご存知の通り、動物病院における医療材料の販売は、総じてどのプレイヤーも積極的には行なっていなく、動物病院にとって「必要なモノを入手することの不便さ」という「不」が存在していました。 ですから、この20年間、動物病院で必要な医療消耗品が何でも揃う「品揃え」、360日いつでもお届けできる「受注や配送の仕組み」、様々な動物種と疾病に対応しなければならない多品種少量のニーズにお応えする「分割販売」という、動物病院にとっての『利便性』を常に磨き込みをしてきました。 現在、国内に約12,000の動物病院がありますが、年間を通じて約11,000の病院さんが、当社で買い物をしてくれています。 「動物病院のコンビニだ」「動物病院のインフラだ」と言って頂く先生方もいらっしゃいます。 |
守屋 | もう敵はいないんじゃない? |
原 | いえ、顧客カバレッジでは日本一ですが、我々は競合企業よりも40年遅れて市場に参入したので、市場シェアで言えば、まだ1位は取れていません。 また、競合各社もECを始めており、当社と同じスタイルになりつつあります。ですから、「利便性」をさらに進化させることと、オリジナルや専売商品の品揃えを増やす取組みと、病院のDX化や業務支援などの物販以外のサービス展開を進めています。 |
守屋 | なるほど、単なるモノ売りに留まらないわけですね。 ところで、金田さんにお聞きしますが、シグニに投資した狙いと期待値はなんでしょう?私も投資の仕事をしているのですが、シグニのどこに着目したのですか? |
金田 | はい、まず当社について少し紹介します。BCM(ベーシック・キャピタル・マネジメント)は2002年に設立された投資ファンドです。ファンド業界でも老舗の一社で、政府や国内の機関投資家から資金をお預かりし、優良な中堅中小企業に投資しています。「価値ある事業」を次世代にしっかりと繋いでいくことを自らの役割として、これまで卸、メーカー、IT、外食などさまざまな分野に投資してきました。ペットビジネスという括りでは、実は過去に猫砂メーカーへ投資を行ったことがあります。 シグニに興味を持ったのは、他にはない特徴を持っていることです。動物病院向けの卸売り業界では、地域に根差した対面販売が殆どですが、シグニはECサイトでの販売に特化しており、それでいて全国の動物病院の90%以上をカバーしているトップランナーです。EC事業の盤石さだけではなく、そこから派生する新しいサービスの展開など、プラットフォームとしての成長余力も大きいものがあると感じました。 加えて、シグニが持つ社会的意義の大きさです。ペットビジネスは全体として良いイメージを持たれがちではありますが、様々な課題を抱えています。そのような中、シグニは最前線で動物たちの健康を守る医療従事者の皆さんを後ろからしっかりと支える、非常に意義深い仕事をしています。人とペットとがよりよく共生していくことが求められる世の中において、まさに次世代にしっかり繋ぐべき「価値ある事業」だと感じ、投資を決断するに至りました。 |
守屋 | 私としても、とても嬉しい言葉ですが、ファンドとしての支援のテーマはありますか? |
金田 | まずは、これまでの親会社からの独立を契機として、シグニがより一層成長していくための基盤づくりを支援したいと考えています。我々はこれまでの投資経験から、会社が永続的に発展や成長していくには、強い組織を作り上げることが何より大切だと感じています。 これまでに申し上げたとおり、シグニの仕事は広がりも大きく意義深いものでもありますが、やはり毎日淡々と仕事をしているだけでは、だんだんとただ目の前のことをこなすようになっていってしまう。自分たちがしている仕事がどのように人々に役立っているか、どういった可能性を持っているかを従業員の皆さんにもっと肌で感じてもらい、楽しみながら積極的にチャレンジできる仕組みや環境を作り上げることで、ひいては組織の活性化、組織力の強化に繋げていくことができると考えています。 |
守屋 | 私も多くの新規事業に携わっていますが、事業の立ち上げ時は、創業者の思いや創業チームの勢いや、まとまりだけで何とかなる部分もありますが、強い組織を作るには、また違う仕掛けが必要ですよね。 |
原 | はい、我々もまだまだ未熟な組織ですが、色々なバックボーンを持ったメンバー達が、時にはぶつかり合いながら、お客さんのために走り回ってくれています。 |
守屋 | 私がいた時と比べれば、かなり大きな組織になりましたが、今、どうやって組織運営をしているのですか? |
原 | 私が入社した時の6名から、現在は約60名の組織になりました。売上と比較すると、かなり少数精鋭で運営しています。勿論、大きな戦略の絵柄を示すことは大切ですが、今、私たちは、変化が激しく、先が見えず、正解のわからない時代を生きています。こうした時代をどう生き抜くか?で言えば、ありたい姿を見据え、ちょっと先の小さなゴールを決めて、とにかく行動してみることが大切だと考えます。そして、上手くいってもいかなくても、自分の行動を振返り、周囲の動態を捉えながら軌道修正して、また次の少し先のゴールに向かって行動を起こす。この繰り返しでしか、ありたい姿には近づけないと思っています。遠くにある、ありたい姿をブラさずに、日々、足下の数値や成果にこだわる。これを全社で実行出来れば、自走する組織として必ず結果に繋がるはずだと思い、「基本行動」と呼んで日々取組んでいます。 |
守屋 | 今、シグニが目指している姿は?ありたい姿とはどのようなものですか? |
原 | 人と人とペットが相互に助けあう健康社会(=Well-being)を構築する」というのが、シグニのパーパスです。ペットは人に対して、健康と幸せをもたらしてくれます。一緒にいることでストレスが軽減できたり、病気の寛解率が高まる。つまり、ペットとの生活は、身体的にも精神的にも社会的にも充足するwell-beingそのものであり、ペット産業はウェルネス産業であると考えています。人と人が助け合い、人がペットを助ける。そして、ペットも人を助ける。そんな互助の社会を、ビジネスを通じて構築するシグニでありたいと思います。 そして今は、ペットの命と健康を守る、動物病院と動物医療を助ける、支えることが目の前のミッションです。 |
金田 | シグニは非常に大きなポテンシャルを持った企業です。豊かさの在り方としてのWell-beingという概念への注目が高まるなか、シグニに対して社会が求めるものは今後ますます大きくなっていくと考えています。EC事業を中核としつつ、その顧客基盤やデータを活かして事業領域を拡大し、動物医療分野における唯一無二のプラットフォームとなることで、社会の期待に応えていくことを期待しています。 |
原 | ありがとうございます。EC事業の更なる磨き込みとともに、顧客インサイトから抽出した様々な課題を解決するために、テクノロジーとオペレーショナルエクセレンスの強みを発揮しつつ、様々な企業との連携を図りながら、新しい価値あるサービスや事業を作り出していこうと考えています。 |
守屋 | いつの間にか大きくなった子供を見る親戚の叔父さんの気分ですが(笑)、是非、一緒に仕事が出来ると嬉しいです。 |
原 | はい、これまでも時々相談に乗ってもらってきたけれど、今度は新規事業開発で一緒に仕事がしたいですね。 今日は、昔のことを思い出しながら、自分自身の初志貫徹や商売の原点回帰、そして新しいことへの挑戦といった、比較的シンプルなマインドへ立ち返りができたように思います。 金田さん、守屋さん、本日はありがとうございました。まだまだ進化を続けるシグニを、これからもご支援お願いします。 |